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映画 『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を観たら涙腺が決壊した話

よもや初の映画エントリーがすみっコぐらしになるなんて……。

ネタバレあるので未見の方はご注意くださいませ。

 

 

先に言っておきますけど、Twitterでバズってたオタク特有の誇張表現ツイート(実質奈須きのこ・ジョーカーより悲しい・鬱エンドetc)は長いことTwitterしてるせいでそういう奇をてらった表現しかできなくなってるタイプの人の感想なんだと思うよ。

そりゃ泣いたけど、あたたかい涙だよ。絶望の涙じゃないよ。

ジョーカーも観たけどさ、さすがにそれはねぇよ。

ってか、鬱エンドって気軽に使ったらダメじゃん……怯えて観に行かなくなる人もいるでしょ……。

鬱ではない……救いはあったもの……。

 

いうて私もオタクだからこれから気持ち悪いことバンバン言うけどね!!!!!!ごめんね!!!!!

 

 

キャラクター&あらすじ&観た動機

 

いつもの喫茶店、いつものすみっこ。その地下室に隠された、ふしぎな絵本とは・・・? ある日の午後、お気に入りの喫茶店「喫茶すみっコ」へとやってきたすみっコたち。おなかをすかせて注文した料理を待っていると、突然、地下室から物音が。「地下室のすみっこに誰かいる・・・?」みんなで中に入って行くと、そこには一冊のとびだす絵本。ひどくボロボロで、ページの大事なところがなくなっている。桃太郎のお話のページには背景があるだけで、おじいさんもおばあさんもいない。すると突然、大きな影が現れて、えびふらいのしっぽが絵本にすいこまれてしまう! すみっコたちがおっこちた物語の世界にいたのは・・・新しいすみっコ?

映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ : 作品情報 - アニメハック

 

付き合いが長いすみっコぐらしガチ勢のフォロワーがいるため、ぱっと見はゆるふわだけど各々の設定が濃くて深いすごいジャンルだなぁとボンヤリは知ってました。

それで今回「まぁたオタクがTwitterで妙なこと言って一般人をビビらせてるよ…じゃあちょっとホントかどうか観てくるか…」と、台風の日に田んぼの様子を見に行くノリで仕事帰りに最寄りのイオンに駆け込んだのです。

結果はタイトル通りです。

ボロ泣きしました。

仕事帰りに観るもんじゃなかった。

 

 

 

 

感想

キャラクターは喋らず、セリフはひらがなの吹き出しが出ます。

その分、井ノ原快彦氏のナレーションがめっちゃ響いて良い。

聞き取りやすいのはもちろん、キャラクターの状況を的確に説明し、観客と同じ目線でワクワクしながら物語に入り込んでいる感じ。

時折、観客に代わってすみっコ達に鋭くツッコミを入れてくれるのでそのたびに笑いが起こりました。

 

とびだす絵本の物語のナレーションは本上まなみ氏。

本上氏はあくまで『絵本のストーリー』という決められた文章をなぞりつつもとても優しい声で、まさに百戦錬磨のお母さん。めちゃくちゃ読み聞かせが上手いお母さん。

 

この絵本読み聞かせ方式のスタイルが情報の濁流に揉みくちゃにされて感情を失ったオトナにブッ刺さるのである。

 

 

物語のキーパーソンは出自不明で記憶喪失のひよこ?です。

体にノイズが走るひよこ?が涙を流すシーンから映画が始まります。

この段階でオタクは「あっ…こういう不穏な描写すき…」となる。

OPでのキャラクター紹介はあっさりしつつ全員の重たい設定をしっかり押さえていて初見にもやさしい。

とかげとにせつむりがニセモノ同士仲良しみたいな激重エピソードをさらっと言うな。

 

不思議なとびだす絵本に吸い込まれたすみっコ達はその中で出会ったひよこ?ちゃんのおうちを探すことになります。

特に、昔の記憶がボンヤリしていて自分探し中のぺんぎん?はおうちがわからないひよこ?に強いシンパシーを感じているようです。

「おうちをさがそう!」と最初に言い出したのもぺんぎん?です。

 

絵本の仕掛けに翻弄されて散り散りになりながらも、彼らは絵本の登場人物となって『桃太郎の世界』『マッチの売りの少女の世界』『アラビアンナイトの世界』『赤ずきんちゃんの世界』『人魚姫の世界』『醜いアヒルの子の世界』を巡ります。

人見知りが激しいねこが桃太郎にされたり、寒さに弱いしろくまがマッチ売りの少女にされたり、食べられたいのに食べられなかったとんかつが赤ずきんちゃんにされたり、重さを感じる配役がある。

 

個人的に

・物語の住人に押されて強制的に川に洗濯に行かされる桃太郎のおばあさん役のしろくま。

・なぜかサングラスをかけてEDMを流して船上でアゲアゲになってる人魚姫の王子役のにせつむり。

・オオカミに自分を食べろと詰め寄りドン引きされ逃げられる赤ずきんちゃん役のとんかつ。

・どんなことがあっても常にニコニコしているざっそう

らへんがツボでした。

 

絵本の中をわちゃわちゃ駆け巡り、物語の住人たちとも仲良くなり、最終的にひよこ?は『醜いアヒルの子の世界』のアヒルの子ということで一件落着!

かと思いきや

絵本の仕掛けボタンを押すと本物の醜いアヒルの子が現れ、爆速で美しい白鳥に成長して飛び立っていった。。。

この瞬間の絶望感とやっちまった感がけっこうキツい。

 

ようやく見つけた居場所が勘違いだと気づき、ショックのあまりひよこ?は湖の底に沈んでいく。

慌ててそれを追うすみっコ達。

水属性のすみっコは自ら湖に飛び込み、水が苦手なすみっコはとかげが吐いた空気の玉の中に入ります。

とかげ、王蟲かよ……さすが恐竜の生き残り……。

 

湖の底は白紙のページに繋がっていて、そこでようやくひよこ?は己が存在の秘密を思い出します。

ひよこ?は物語の住人ではなく、誰かが絵本の白紙ページに描いたただの落書きだったのです…………。

 

OPで体にノイズが走るひよこ?は誰にも存在を知られず忘れ去られて絶望して泣いていたのである。

本来のページに戻って記憶を取り戻したものの、結局は本当の意味でひよこ?の居場所など最初からなかったというキツめのオチ。

たたみかけるように白紙ページの上に現実世界へ通じる光の穴が空きます。

これを逃したらもう外に出られないと察したすみっコ達は一致団結して物語のパーツを組み合わせて光の穴に届く塔を建てます。

そして「いっしょにおいでよ」とひよこ?を誘うのですけど、察しの良い大人の皆さんは気付きましたね?

 

ひよこ?は物語の住人ではないけれど絵本に描かれた絵ではあるので、現実世界には出られない。

 

キツ……エグ……物語の中に居場所がないのに……これからもずっと何もない空白の場所にいることになる……友達という概念を知った後にまた1人になるのあまりに辛い……。

 

何が悲しいって、ひよこ?は塔のてっぺんを組んでいる最中にこの事実に自分で気付いているのです。

で、誰にも言わない。一番仲良しのぺんぎん?にも言わない。

光の穴からみんなが出ていくのを塔の下から見上げて見送るひよこ?

状況が飲み込めず「どうして!?」という顔で塔のてっぺんから駆け下りようとするぺんぎん?があまりにしんどい。

そして、ぺんぎん?が慌てて動いたせいでバランスが崩れ倒れかける塔。

それを物語の住人達と共に必死に支えるひよこ?の小さな背中がとても大きく見えます。

このまん丸のフワフワした体の中には想像絶する悲しみが詰まっているのに、それでもひよこ?はすみっコ達を送り出すために身を挺しているのです。

どんどん小さくなっていく光の穴をすみっコ達の宿敵(?)である謎のアームが押さえにくる展開も熱い。

でもそれは、すみっコ達はすみっコ達の現実に帰らねばならないという世界の理(ことわり)を否が応にも示しているわけです。

どんなに強く望んでも、どんなに強く願っても、世界の仕組みには抗えません。

ひよこ?と共に外に出られると信じていたぺんぎん?も、ついに穴に吸い込まれてゆきます。。。

 

無事に現実世界に帰還したすみっコ達。

目の前に置かれたとびだす絵本の巻末の白紙ページには、さっきまで一緒に大冒険を繰り広げていたひよこ?がちょこんと描かれています。

もうこの段階で私の涙腺がガタガタ鳴り始めた。

っていうか周囲からすすり泣きが聞こえて来る。20時台の上映だから100%大人しかいなくて、かえって泣きやすいのかもしれない。

 

 

後日、すみっコ達は画材や紙を持ち寄り集まりました。

件の絵本の白紙ページのひよこ?の周りに思い思いにお友達を描き、おうちを作り、紙を引っ張ると花壇のお花が咲く仕掛けを付けました。

現実世界にいる彼らが紙の世界の『友達』に出来る唯一且つ最高の干渉方法はこれしかありません。

 

すみっコ達によって落書きのひよこ?の物語が生まれたのです。

 

いやもう、ダメでしょ。泣くでしょこれ。

涙腺が決壊しました。久しぶりに虚構で泣きました。

EDは原田知世氏の優しい歌声に合わせて、ひよこ?がすみっコ達が描いた友達のひよこ達と遊んでいる姿が流れます。

すみっコそれぞれの特徴を想起させるお友達のひよこがまた……泣ける……。

 

 

優しさと夢を忘れたオトナに効く映画

以上が私なりの『すみっコぐらし とびだす絵本

とひみつのコ』の感想でございます。

まだ1回しか観てないからアラはあると思う。

 

巷では逆詐欺映画なんて言われてますけど、子供向け映画として必要な要素は全部詰まってます。これ間違いなくめっちゃ教育に良い。観たら優しい子になる。

子供向けだからといって安易に『ひよこ?が不思議な力ですみっコと一緒に絵本から飛び出したよ!』とならないのが本当に最高だと思う。

そもそも『すみっコぐらし』という製品そのものが子供向けファンシーと大人に刺さるスパイシーのバランスをうまく取ってパッケージ出来ている稀有なジャンルなのだと肌で知れました。

TL受動喫煙で予備知識があっても、自分から能動的に吸わないとわからないこともある。

 

優しさと夢を忘れて薄汚れたオトナにこそ観て欲しい映画だけど、予想外の方向でバズったために本来想定されている客層であるファミリー層と古参のガチ勢にいらぬ迷惑がかからなければ良いなと思います。

私ももう1回くらいは観たい。迷惑かけないようにしなければ。

 

 

すみっコぐらし ここがおちつくんです

Twitterで「すみっコの映画で泣いた…」と騒いでいたら優しきフォロワーがKindleアンリミで読めるすみっコ絵本を教えてくれました。

即DLした。

 

 

最後に、観賞を後押ししてくれたすみっコぐらしガチ勢フォロワーにここで謝辞を。

背中を押してくれてありがとうございました!!

良いもの観れました!